Graphic Designとは
主として平面の上に表示される文字や画像、配色などを使用し、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザインのこと。ポスター、雑誌広告、新聞広告、映画・コンサート・演劇・展覧会等のフライヤー(チラシ)、商品のパッケージデザイン、ロゴマークなど、多岐にわたる。近年では、コンピュータ上で表示されるインタラクティブデザイン、モーショングラフィック、ウェブデザインの中においても、写真や文字のデザイン、配置や配色、アイコン設計などを含むことがある。メディアの多様化により、デザインの中で特に「平面的な媒体表現」を超えた、広義なとらえ方に変化してきている。情報伝達と美術の融合として、展覧会なども行われる(by wikipedia)。
・・・はい。「要は視覚情報を伝達する手段だ」とおっしゃってました(上文要約)。
GreeeeNの場合
日高さんはGreeeeNのアートディレクターを勤めてらっしゃいます。彼らがデビューするにあたり、どのように売り出すかという話をしていたときに、彼らから出てきた「条件」は以下の通りだったそうです。
- 一切のプロモーション活動をしない
- 大学に迷惑をかけたくない
- メディアでの顔出しNG
当時彼らはまだ大学生でした。しかも歯科医を目指していたわけですから、そりゃ忙しいわけですよね。大学に迷惑をかけたくないというのも頷けます。ただ、通常であればまずはみんなに名前と顔を覚えて貰わなきゃいけないわけですから、シッカリとプロモーションを行なう必要があると。にも関わらず「顔出しNG」となると、これはもう本来ならば死活問題ですよね。でも、そんな「条件」に日高さんは「燃えた」んだそうです。「やりましょう」と、日髙さんがまず着手したのが「ビジュアル制作」でした。
雰囲気重視のビジュアルデザイン
テレビに出ないどころか、ジャケットに顔写真も載せられないとあれば、それに代わるビジュアルが必要です。とっても解りやすく、パッと見で覚えて貰えるような、そして、模写して貰えるようなデザイン。GreeeeNの場合ターゲット層が10代と明確だったので、10代の中高生が学校のノートに落書きで模写しまくるような、そんなイメージにしたかったそうです。
また、実際に彼らと対面して話してみると、とっても笑いの絶えない明るい印象だったそうです。そこで「笑顔」「楽しそうな雰囲気」更には「歯科」にかけて、ニコッと笑ったようなデザインを思いついたのだとか。
デザインのポイント
- 彼らの楽曲から連想される「楽しそうな雰囲気」を表現
- 彼らの「人となり=スマイル」を象徴するようなデザイン
- 手書き風にすることで、ターゲット層となる中高生が簡単に模写することが可能
- 自分の名前やサークル名などにアレンジすることが可能
中高生であればよくやるであろう、サークルや部活名へのアレンジも想定した上で、「描きやすい」イメージというのも重要視されたのだそうです。シンプルさの中に、こんな奥深さがあったんですね。
ビジュアルを駆使したプロモーション
さて、ビジュアルは完成しました。今度はいよいよプロモーションの段階です。日高さんは1st シングルの特典ステッカーとして、大小さまざまなステッカーを用意しました。女子高生などの「何にでもシールを貼りたがる性質」を利用して、ビジュアルの流布を狙ったというわけです。笑。さすがです。この狙いは大当たり。カバンや携帯などに貼られているステッカーを見た人が「何だあれ?」となりますし、たとえ楽曲を知らなくても、ビジュアルだけが「一人歩きしちゃう」のでシッカリ印象に残る、というわけです。
ジャケットデザイン「人」
今でこそスマホが主流になりつつありますが、当時の通信媒体として最も勢力が強かったのは、いわゆるガラケー。そもそもGreeeeNは10代をターゲットとしていますから、当時ではまだ珍しかった「楽曲配信」にスポットを当てていました。よって日髙さんは一貫して、ガラケーの小さな小さな画面でもパッと目を引くよう「3×3(cm)の世界」にこだわったそうです。そのため、彼らのジャケットに関しては概ねシンプルなレイアウトであることが多いようです。
この楽曲の場合、「人」という文字から、どうしても金八先生の「あのシーン」を連想してしまった、というのが日高さんの本音のようです。笑。本当は「人へ」というタイトルだったらしいのですが、ハマりが悪かったので勝手に「人」に変えたんだとか。(ぇ)まずはジャケットを作るために、武田鉄矢さんに掛け合って肖像権のOKを貰いました。更にはドラマ著作権元のTBSに掛け合って、やっとのことでOKを貰い、発売にこぎつけたのだそうです。
東京都心部で大々的にプロモーション
ジャケットが出来たら、今度は東京都心部のあらゆる場所にパネルとして出現させ、人々に覚えて貰うことにしました。が、ただでさえ金八先生というインパクトがあった上に発売時期がちょうどクリスマスと重なっていたため、「雰囲気が台無しだ」というクレーム(!?)が出たそうです。(汗)でも、「覚えて貰う」という意味では、プロモーションとして成立してますね。笑。
少女時代の場合
本場韓国では、もっぱら「アイドル」「人気女性グループ」といったプロモーションがなされていたため、男性からの人気が高かったそうです。また、各個人に対して根強いファンがつくという傾向も強かったのだとか。これは日本のAKB48と似ていますね。日本で売り出すにあたり、プロダクション側はこの点を懸念していました。またもや日本でも、男性からの支持が集まるんではないかと。それでは「普通のアイドル」じゃないか、ということなのでしょう。もっと違った方法で売り出したかったようです。そこで日高さんが思い付いたポイントは
- 女性から支持を得る
- 「少女時代」として売り出す
だったそうです。韓国で男性から支持を得ていて、また個人にファンが付いているのならその逆をすればいい、という発想ですね。
「美脚」を思い付く
さて、「女性をターゲット」にすることと「少女時代」として、グループ名で売り出すことまでは決まりました。次にはどうやって、「女性に刺さるアイコン」にするか。日高さんは彼女たちのメディア媒体やテレビなどを眺めてみました。ダンスがかっこいいな〜。みんなハイヒール履いて揃ってるな〜。うぉ〜、脚キレイだな〜。
・・・ん?脚?
そうです。女性は「美脚」が大好きです。キレイな脚に憧れてトレーニングやらダイエットやらサプリやら(?)めっちゃ頑張っちゃうくらいに、大好きです。男性も当然、好きな人は好きでしょう。でも、「美脚」であれば女性に刺さるに違いない。そう思ったそうです。アイドルとしてではなく、一種の「モデル」として売り出すことにした、というわけです。
計画通り。
そこでまずは、彼女たち全員を横1列に並べてヒールを履かせ、なるべく丈の揃った状態で「引き」のショットを使用するようにしました。通常、アイドルであればそれこそ「顔」が重要ですよね。特にデビュー曲となると「顔」のアップ写真がよく使用されているようなイメージですが、あえて日髙さんはメインの写真でそれをしませんでした。「脚」に目がいくよう「引き」にすることで、個人名は覚えられずとも「あぁ、あの脚がキレイなお姉ちゃんたちね!」と、グループとして覚えて貰えると踏んだわけですね。
このことで、日高さんの計画通り(!!)に日本の女性が沸き立つことになりました。
まとめ
今回は短くまとめてみましたが、実際にはGreeeeNでもっと掘り下げてたり、ANAのポケモンジェットで盛り上がってたり。何より、日髙さんのデザインにかける情熱が垣間見られたことは激アツでした。貴重な体験でした。機会があればまた行きたいです。