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デザイナーとはこういう生き物だ

2013年8月13日火曜日

以前デザイナーを目指す方へという記事を書きましたが、それじゃあいったい、デザイナーに必要な「考え方」は何なのかということについて、今回は書き綴ってみたいと思います。自分自身、周囲のデザイナーの方々を観察したときに感じた「傾向」などとも照らし合わせつつ、言動や行動についても記述していきます。

好きか嫌いかをハッキリ言える

まずこれだと思います。「プロたる者、好き嫌いはいけないよ」という声も聞こえてきそうですが、デザイナーに限ってはこの好き嫌いの振り幅が大きい気がします。あくまでも体感ですが。無論、お客さまからの要望であればその好き・嫌いに関わらずデザインを制作します。(それによってご飯を食べさせて貰っているわけですから)それくらいの力量は持ち合わせていて当然ですが、一個人として好きか嫌いかを問われると「好き!」「嫌い!」をハッキリ言うことができ、かつ「なぜなら...」と(聞かれてもないのに)その理由までも答えてしまうという傾向にあります。

常に自問自答している

これにはれっきとした理由があります。「好きは好きでも、何故好きなんだろうか?」と、自問してしまうからに他なりません。自分なりに「何故?」「どうして?」を考えて、「そうか、これがこうだからか!」と結論付けます。日常生活において、身の回りのものや人(家具、文具、食器、ガジェット、料理、お店、映画、キャラクター、ペット、etc...)について「このデザインは良いなぁ〜」「カワイイなぁ〜」「ステキだなぁ〜」「でも何か惜しいなぁ〜」「え?じゃあ具体的に何が良いんだろう?」「何が悪いんだろう?」と、常に自問自答しています。そうすることが、もはや習慣になってしまってるんですね。

「理由」を述べることに長けている

実は、デザインするときにもこれと全く同じ考え方をします。例えば色を決めるとき。「何となく、この色が合ってる気がする」と直感でグリーンを選んだとします。ただ、お客さまに提出するときに「直感でグリーンを選びました!」と答えたのでは、何の説得材料にもなりませんし「特に理由もないんだったら、ピンクにしてよ」と、あとで修正することになるかもしれません。

実際に手を動かすときには「直感」や「何となく」かもしれなくても、それをお客さまに提出するときには、しっかりとした「理由」が必要になってくるわけです。勿論、この「理由」に基づいて色を決めることも多々ありますが、実際に作業をしているあいだというのは「無」の境地ですからね。パッと見の印象や雰囲気を大事にすることも、とても大切なことだったりします。

自信ありげな話し方をする

前記の通り「理由」を求められるのが常ですから、「何となく」「...だと思います」といった曖昧な表現ばかりを使っていると、喋っている本人ですら徐々に不安になってきます。多少なりとも自信をもって「こうです」「こうだからです」とハキハキお話できたほうが、お客さまも安心しますよね。周りからも「さすがはデザイナーだな」と一目置かれるようになり、お仕事がいっぱい貰えたり、デザインの相談を受けるようになったりして、社内の関係性も向上するというわけです。

上から目線なのは仕方ない

中には「デザイナー」といわれると、某ハリウッド映画に登場するような「タカビー(高飛車)」「威張ってる感じ」を連想してしまう方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。それもそのはず。彼らもきっと(設定上)下積み時代から必然的にこの「理由」を求められ、それに対して確固たる根拠を持って(無くても捻り出して)数々の困難を乗り越えてきたに違いないからです。

彼らに限らず言えることですが、自分の成果物に自信がないなんてことは、お客さまに提出し、OKを貰って世に放たれていく以上ありえないことなんです。だからこそ胸を張って「これが今回導き出した答えです('-'*)」と言えなきゃいけない。そういうデザインを心がけなきゃいけない。またその自信と誇りを持って提供するからには、その確信に裏付けられるデータなどの情報収集が、日々の中で欠かすことのできないタスクとなります。

案外「数字」も頼っている

情報収集を行う中で、特に重宝するのが統計データです。「え?デザイナーが統計?」「数字とか見て分かるの?」はい、逆にある程度「読める力」が必要になります。前記の通り、お客さまを安心させるための要素として「自信」が必要で、かつその裏付けのためにもデータは必須となります。「約◯割の人がこのような行動を取るという統計に基いて...」「◯◯によると、ユーザーはこういう傾向が強いので...」という枕詞があるだけで、そのデザインが主観(個人の好み)によって作られたものではないのだ、ということが伝わりやすくなります。

普段からデザイナーは「どうすればユーザーが使いやすくなるだろうか」「どうすれば解りやすいだろうか」「本当にこの方法で良いのだろうか」と考えながらデザインしています。ただ、どんなに主観的にならないよう気をつけても、そのことがしっかり相手に伝わらなければ意味がありません。そのためにもこの「数字」が、お役立ちツールになるというわけです。

いつでも本気(手を抜かない)

「自信を持ってデザインを提供する」ことにも繋がりますが、基本的にデザイナーは「いつでも本気」です。大規模な案件だろうが小規模な案件だろうが、その規模や金額はあまり関係ありません。「手を抜く」ことができないからです。「手を抜く」ということは、自分のキャリアに傷を付けるばかりではなく、自身の成長すらも阻害してしまいます。思考を停止した時点で「抜け殻」になったも同然、辞めてしまったほうがマシです。

小規模な案件だからといって、お客さまが何も出し惜しみをしているなんていう風には思えませんし、逆に、大規模な案件のほうが、その企業からすると雀の涙ほどの予算だったりするわけです。規模や金額といった物量的な価値基準や感覚を養うことはとても大切なことですが、そればかりに気を取られてしまうと何とも味気ない「無味乾燥なデザイン」しかできなくなってしまいます。「本当は俺、本気出してないだけで頭いいんだぜ」って言っている中高生と何ら変わりません。

それを知っているからこそ、また自身がそうなりたくないからこそ、いつだって本気でデザインと向き合うわけです。自身のポートフォリオとして恥ずかしくない出来栄えを目指して、デザイナーは常に闘っています。

まとめ

以上、実にざっくりとではありますが...デザイナーって案外地味で地道な人たちなんだな〜っていうことが、少しでも伝わればいいなと思ってまとめました。今後も思いつき次第、手を加えていけたらなと思います。